【平成22年2月定例会】 |
住民票の写し等が取得された場合の本人への通知について質問をさせていただきます。
これまで、一部の悪質な行政書士などが職務上請求用紙(弁護士、司法書士、行政書士など8業種が使用できる用紙)を使用し、住民票や戸籍謄本を不正に取得する事件が後を絶ちませんでした。
本市においても、2005年6月、名古屋市内の行政書士が興信所、探偵社からの依頼により職務上請求用紙を使用し、住民票や戸籍謄本を取得し、1通数千円から数万円を受け取っていた事件が発覚いたしました。
さらに、2006年2月、名古屋市内の興信所が委任状を偽造し、区役所の窓口で住民票や戸籍謄本などを不正取得し、全国で数千件の交付申請を行っていたことが発覚をしました。区役所でのチェックの甘さが指摘された事件でもありました。 |
不正に取得された場合、本人にその旨を通知する制度導入も、
犯罪が確定してから本人に連絡が入っても、時すでに遅し |
2008年5月に住民基本台帳法と戸籍法が一部改正され、住民票の写し、戸籍謄抄本などの交付請求時に本人確認を行うことが義務づけられました。住民票、戸籍謄抄本などの証明書の請求や、転入、転出など届け出をする場合、運転免許証や住民基本台帳カードなどの本人確認の証明書を持参しなければならなくなりました。
さらに、愛知県は、2009年3月に住民票の写し等が不正に取得された場合における本人通知実施要領(例)を策定いたしました。この要領は、2008年の法改正だけでは一部の者によって住民票の写し等が不正に取得される懸念が払拭されたわけではない。不正に取得された場合において、本人に対し、その旨を通知することにより、本人の不安の緩和、その他人権上の配慮をし、二次被害の防止及び不正取得の抑止を図ることを目的としております。これを受けて、本市も平成21年10月1日、政令指定都市としては初めて実施をする運びとなりました。
この制度は、不正取得者に対する刑罰等が確定した後、区役所から被害者に対し、電話で不正取得の事実等を説明し、面談を実施して、不正取得した者の氏名等の情報提供や人権保護の観点から専門相談窓口を案内するというものです。
これまでの状況からすると、かなりの前進であり、政令市初の取り組みという点では一定の評価ではあると思います。しかし、犯罪が確定してから本人に連絡が入っても既に時遅しではないかと思うのです。
そういった中、津島市では、本年4月から住民票の写し等の第三者交付に係る本人通知等制度を実施されるそうです。この制度は、住民票の写し、戸籍謄本などを本人の代理人や第三者に交付したとき、事前に登録した方に対して通知することにより、住民票などの不正請求及び不正取得を防止するためだそうです。事前に市民課に登録しておけば、第三者や本人の代理人に住民票などを出した場合、その事実のみを知らせます。警察などの公共団体が申請した場合は対象外で、不正取得が発覚し、罰則が確定した場合は登録していなくても知らせるそうです。
通知を受けた後、どんな書類を出したか、代理人の住所や氏名などを知りたい場合は、改めて証明書を申請することになります。ちなみに、発行手数料は300円になるそうです。身に覚えのない第三者の氏名を知りたい場合は、個人情報の開示請求が必要となります。
同様の制度は、既に大阪狭山市が平成21年6月より、その後、同じ大阪の河南町、岬町、富田林市、田尻町、高槻市、箕面市と七つの自治体で導入をされております。
そこで、市民経済局長にお伺いをいたしますが、本市でも先ほど申し上げたような事件が発生しております。こういった教訓を受けとめ、住民票や戸籍謄本等の情報は市民の最も重要なプライバシーの問題という視点で、より厳格なシステムを構築すべきではないかと思います。事前登録の本人通知制度を導入するお考えがないかお伺いをいたします。 |
市側答弁
市民経済局長:御提案をいただきました事前登録によります本人通知制度の創設につきましては、不正な請求を抑止する効果がある一方で、法律で認められました第三者の正当な権利を侵害するおそれがあるため、法の位置づけがないと実施できないのではないかという指摘がございます。
本市といたしましては、県や他の政令指定都市等と連携いたしまして、法改正を国に働きかけてまいりますとともに、一部取り組みを行っております他都市の状況を参考にしつつ検討してまいります。 |
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事前登録の本人通知制度こそ、水際で食いとめることができる最善の方策 |
事前登録の本人通知制度の導入についてで、要望をさせていただきたいと思います。
国のほうにも働きかけていただけるという答弁もありましたし、検討もしていきたいという御答弁をいただきました。現状の制度だけでは、犯罪が決まってから、犯罪が確定してから通知をするということでは、もうその犯罪に遭った人はプライバシーが既に守られていない、そういった状況になります。
この事前登録が水際で食いとめることができる最善の方策だと今の現時点では思っております。本市もDV被害者やストーカーなどへの、加害者からの住民票の写しに抑制がかかるシステムをもう既に導入されているはずです。そこに少し応用を加えれば、何とか対応ができていくのではないかと思っております。
また、市長のマニフェストの中にも、プライバシーを守る条例をつくるという一文もございます。この事前通知制度は、要綱を変えるだけで十分対応ができるシステムだということも聞いておりますので、早急に実現をしていただくよう、まず要望をさせていただきます。 |