【平成19年9月定例会】
 広小路ルネサンスについてお尋ねをいたします。
 名古屋駅地区と栄地区を東西につなぐ広小路通りについて、平成15年度以降、広小路ルネサンスの取り組みが進められています。歩く楽しさや地上のにぎわいが連続する通りへと再生することを目指すとともに、都心部のさらなる魅力向上と活性化に結びつける先導的事業の一つと伺っております。
 「広小路ルネサンス構想の先導的事業」と言うけれど…
 昨年11月、栄交差点から伏見交差点の約800mの区間(写真)について車線減、歩道拡幅の実現を図る方向で、地元を初め運輸業界、県警などの関係者と調整を図るとの方針が示されました。この方針に基づき計3回地元説明会が開かれ、延べ236名の方が参加されたと伺っております。

 計画案では、栄交差点から伏見交差点の区間について、現在の4車線から2車線(片側1車線)へと車線を減らし、歩道を現在より片側だけで約4m拡幅し、その歩道にはオープンカフェやせせらぎ、新たな植栽等を設置することが提案されております。

 車線が減少する影響として、例えば荷さばきについては、停車車両を減らすため広小路通沿いでの荷さばきをしないよう協力を求めるとしております。この対応として、交差する南北の道路において、現在のパーキングメーターの代わりに、荷さばき用スペースを確保することを検討していくとのことでした。
 事業対象の伏見ー栄間はオフィス街、店舗誘致は進んでいるのか?
 そこで、何点かお尋ねいたします。
 まず、にぎわいの創出としての店舗誘致について伺います。この伏見から栄の区間は、銀行、証券会社などの会社が立ち並ぶオフィス街で、現状のままでは沿道に店舗が少ない通りです。そういった通りの歩道を拡幅し、せせらぎを流し植栽をふやしても、それだけでは人は集まってこないのではないでしょうか。

 大勢の人を集め、その歩行者に楽しんでいただくためには、沿道の建物の1階にウインドーショッピングができるほどの店舗が並んでいることが必要です。今の段階で、2010年の完成に向けて店舗化はどれぐらい進んでいるのでしょうか。

 伏見から栄の区間が800mのうち、すべてつなげると何mぐらいになるのか。また、南北それぞれ、物販、飲食、娯楽等の比率など、住宅都市局長に具体的に答弁をいただきたいと思います。
市側答弁
住宅都市局長:広小路通は現在、伏見から栄までの区間には51棟の建物がありますが、広小路に面した1階の全部もしくは一部で物販または飲食店となっている建築物は33棟です。現状としては、店舗がまだまだ少ない状況です。今後も、関係局と連携しながら店舗化を促進してまいりたいと考えております。
 「800m区間だけ車線減少」が、マイカー自粛につながるのか?
 次に、なごや交通戦略における位置づけについて伺います。
 なごや交通戦略においては、現状の名古屋における公共交通と自動車の利用割合を3対7、2010年には4対6にするという数値目標を掲げています。そして、この目標を達成するために、市域周辺や都心外周でのパークアンドライドの推進や利用促進、エコポイントを使った公共交通利用促進など、さまざまな戦略を全市的に取り組んでいます。

 今回の広小路通り計画案についても、この方針に当然つながっていると考えますが、地下鉄駅でいえばわずか1駅800mの区間だけ、2車線化することが方策であるとお考えなのでしょうか。総務局長の所見をお尋ねいたします。
市側答弁
総務局長:なごや交通戦略では、道路における歩行者空間を広げ、にぎわいを創出し、歩いて楽しい都心にすることにより、自動車から公共交通への転換を促進することを方針の一つとしております。今回の広小路の一部を2車線化する計画案は、なごや交通戦略を進める上で先導的な役割を担うものであると考えております。
 多彩なイベントで人を呼び集めている堀川地域は計画対象外
 広小路ルネサンス構想は、平成16年3月に策定された名古屋市都心部将来構想にも取り上げられています。そこに示されている広小路ルネサンス構想の内容は、大きく3点あります。

 1点目は、昭和30年代から40年代の屋台が立ち並んでいたころの、広ブラに象徴されたにぎわいが広小路通に再生され、歩いて楽しいまちを形成する。
 2点目は、都心部の貴重な水辺である堀川、風格ある景観を有する近代建築物、たまり空間である公開空地といった魅力資源を、有効に活用した潤いと触れ合いのあるまちを形成する。
 3点目は、広小路通りのにぎわいと個性的な界隈が一体となり、ぶらぶらと歩いて楽しく、交流のあるまちを形成するとあります。

 今回の歩道拡幅計画は、区間は全体の3分の1であり、さまざまなイベントを行っている堀川は対象区から外れております。にぎわいの創出という面からも、まだまだ発想が乏しいように思えてなりません。この名古屋市都心部将来構想と今回の広小路道路整備計画案は整合性がとれているのか、住宅都市局長にお伺いをいたします。

 また、この広小路道路整備計画案における総事業費、道路整備にかかる費用だけではなく、店舗誘致や緑化対策、せせらぎを流すなどの下水道整備など、どれくらいかかるのかをお尋ねいたします。
市側答弁
住宅都市局長:まずは、広小路生誕350年という節目である2010年に、伏見交差点から栄交差点までの整備完了を目指すことにより、都心部将来構想に掲げられた2.7kmの区間の整備に向け、着実に具体化したい考えています。
 総事業費の概算については、今回の整備について先月末に地元説明会を行い、整備計画案の概要を説明した段階です。今後、より具体的な整備計画の内容を詰めつつ、これに伴う概算事業費について、できる限り年内を目途に固めてまいります。
 交通渋滞、荷さばき、防災面など問題山積の事業計画
 店舗誘致について、働きかけをすれば本当に店舗が増えると思われますか。2010年の具体的な店舗状況についての答弁はありませんでしたが、物販・飲食店やオープンカフェが立ち並ぶ沿道ににぎわいが生まれるのでしょうか。

 2点目の交通戦略の面でも、この計画では効果が期待できるものではありません。本気で3対7から4対6への推進に取り組んでいるとは思えません。

 さらに、3点目の都心部将来構想においても、伏見交差点から栄交差点の区間だけでは、先導的取り組みという位置づけにとどまり、どれか一つでも整合性がとれているという答弁は残念ながらありませんでした。

 例えば、堀川と交差している納屋橋まで延ばせば、堀川で取り組んでいただいているマイタウン・マイリバー堀川とも連動することができます。通りにはヒルトンホテルや名古屋観光ホテルなど大きなホテルもありますので、観光客へのアピールにもなりますし、利用向上にもつながると思います。そうすれば、都心部将来構想とかなりの整合性が生まれてくると思いますが、いかがでしょうか。

 また、概算事業費につきましても明らかにされませんでした。
 さらに、新聞によると、愛知県警の交通部長が今回の計画案に関して、交通渋滞、自転車通行、荷さばき、災害時の対応など解決すべき問題点が多くあると指摘しております。名古屋タクシー協会からも名古屋市長に対して、交通渋滞などを理由に広小路通車線半減構想撤回の要望書が出されました。

 私のところにも市民の方から今回の計画について、広く市民の声を聞くべきだとか、来年からの着工は時期尚早であるといった大変多くの意見をいただいております。
 それでも、2010年完成に向け来年着工するつもりなのか?
 そこで、市長にお尋ねいたします。これだけ課題がたくさんある状況の中で、本当に2010年の完成に向け、来年の夏から秋にかけて工事に着手し、事業を進めるおつもりなのでしょうか。お尋ねをいたします。
市長答弁
 2010年完成の見通し、来年から工事を始めるのかとお尋ねですが、今回の地元説明会で、現在の4車線を2車線化して、快適でゆとりのある歩行者空間を整備することにつきまして、一定の御理解を得られたものと考えております。

 しかし、整備計画を固めていくためには、県警から指摘された点も含めて調整すべき課題も残されています。市民に愛され、親しまれる通りとするためには、その内容を幅広く市民の方々にお示しし、御意見を伺うことも必要です。

 車が主役のまちづくりから人と環境に優しいまちづくりを目指す今回の計画は、さまざまな困難な課題もございますが、一つの目標を掲げて精力的に取り組むことが重要であると考えております。

 広小路の問題が議論された時に、非常にたくさんの方々から御意見があった聞いています。広小路通がまさに名古屋を象徴する道路だからこそ、利害関係者を含めた議論を一層深めていくことが必要と思っております。

 2050年にCO削減50%という世界的な大きな目標がございます。名古屋市は2010年にCO削減10%という目標も掲げております。そういったことを実現していくための、大きな一里塚であると思っております。

 ただ、理解を深めることは極めて大事です。どんな問題も価値葛藤があって初めていい計画ができていきます。そのための非常に大きな課題と思っております。2010年は、名古屋にとってとても大きな節目でございます。それに向けて努力を続け、議論はきちっとしてまいりたいと思っております。
 漠然としたルネサンス構想の中で、先導的事業を進めても市民は納得しない
 地元だけの問題ではなく名古屋市全体の取り組みだと思いますので、しっかり検討を進めていただきたい。
 この広小路ルネサンス構想は、にぎわいの創出がかなり重要になっています。私は、通り全体に大きなコンセプトを持ったほうがいいと思います。例えば、家族ぐるみで出かけたいと思うような通りにする、家族で気軽に食事ができるような飲食店や家族でショッピングが楽しめるようなお店、子供も大人も一緒になって文化や環境などに触れることのできる施設や空間を設けるなど、家族そろって出かけるなら広小路だと言ってもらえるような通りでもよいのではないかと思います。

 最後に、全体的な具体的計画を実現させるために、一度に工事ができなければ、区間に分けて時期をずらして工事を進めるというなら理解はできます。しかし、漠然とした構想の中で、先導的に事業を進めるとおっしゃられても、市民に対して説得性はありません。

 いま一度、この計画が名古屋市都心部将来構想に示されている広小路ルネサンス構想(笹島から東新町までの2.7km)に基づく計画であることを、市民に広く理解、納得していただくことが必要です。多くの課題を解決していただいた上での、工事着工となりますことを切に要望いたします。